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蜜柑山の急斜面

日記です。

「風立ちぬ」

今日から、宮崎駿監督の最新作「風立ちぬ」が公開されますね。前評判の高さに見たいなと思っていたところ、ヨリモで試写会ご招待を見つけ、応募したら当選したので、一足先に見ました。

ずっと、風が吹いている映画でした。

主人公は零戦を設計した堀越二郎、ストーリーは堀越二郎の人生と、堀辰雄の『風立ちぬ』を掛け合わせたフィクションだそうです。

Le vent se lève, il faut tenter de vivre.

風立ちぬ、いざ生きめやも。

『風立ちぬ』に引用されている詩人ポール・ヴァレリーの一節が、あるシーンで心に刺さって、それだけで、見てよかった、と思いました。

あと、愛知県民的なおもしろみも。東京の大学(っていうか東大)を卒業した堀越は、三菱重工業(当時、内燃機製造)で航空機の設計を手がけます。だから、名古屋の駅前とか、工場のある郊外の風景が出てきたときは、あ、名古屋の男子たちはきっと大好きだろうな、と思ってにやにやしちゃいました(よっしーとかが働いてるのって、まさにあそこだよね?)。ロッキー兄さんや野田っちや、ロベさんなど、わたしの友だちの理系男子たち、「風立ちぬ」を見たら、感想を聞かせてくださいね。宮崎アニメには珍しい恋愛メロドラマで、ヒロインのもとへ駆けつけるシーンとかにきゅんきゅんくる女子は多いと思いますが、男子たちはどこに「萌え」るんでしょうか。やっぱメカ方面? 設計図?(笑)

映画はとても楽しめるものでしたが、日本が戦争にボロ負けしたこと、たくさんの零戦が帰ってこなかったこと、特攻で多くの若い命が奪われたこと、女や子どもが悲しい思いをしたことなどを知らないと、何が言いたいかわからないかもしれません。プロデューサーの鈴木敏夫さんが宮崎監督にこの企画を持ちかけたとき、「子どものための映画じゃない」と監督に怒鳴りつけられたというエピソードが、すでにいくつかのインタビュー等で語られています。だけど、大人にとっては、映画に直接描かれてない部分をこそ、自分の知識と経験をもとに心のなかで想起するわけで、それも含めて「わたしにとっての『風立ちぬ』」になる。たぶん、見た人の数だけ映画が生まれるのだと思います。この映画は、全然つまんないっていう人とすばらしいという人と両極端ですが、すばらしいというほうの理由を考えてみると、そういうことかなと思います。つまんないってほうもまあ、わかる。上映中に何回か腕時計見たし(笑)。

ところで、「いざ、生きめやも」って誤訳なんですってね。「生きめやも」って現代語にすると、「生きようか、いや断じて生きない、死のう」って意味になるらしい(http://murasaki-cube.blogspot.jp/2013/03/blog-post_25.html)。

もちろん、「生きねばならない」どんなときも、です。

そして、この映画を見たあとに、アーティスト八谷和彦さんの個展「Open Sky 3.0ー欲しかった飛行機、作ってみたー」(http://hachiya.3331.jp/)を見ると、とってもいいです。いますぐ紙飛行機を作ってとばしたくなります。ほんとにおすすめしたいのは映画よりこっちかも(笑)。九月まで開催してます。詳しくはまた近いうちに。