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蜜柑山の急斜面

日記です。

「SHOWCASE」

アート

小林キユウさんの写真展「SHOWCASE」を見ました。土田ヒロミさん、後藤繁雄さんとのトークイベントもおもしろかった(「SHOWCASE」はシリーズの数点に土田ヒロミさんの「砂を数える」が引用されています)。

http://americabashigallery.com/exhibitions.html

作品にはテーブルに置かれたクリアキューブが写っていて、キューブの中にさらに別の写真があります。キューブの中のイメージも写真(=2D)なんだけど、なぜか3Dに見える、というのがこのシリーズの仕掛け。2Dの中に3Dが閉じ込められているような、なんとも不思議なイメージですが、かわいらしくもあり、どこか懐かしくもあります。

かわいらしさと懐かしさは、手法ではなく、キユウさん(お仕事ご一緒しているのでキユウさんと呼ばせていただきます)の作風からきているような気がします。

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これは、キユウさんが毎年制作されているカレンダー。色合いといい、たたずまいといい、見ているこちらの心がすっと落ち着くような温かい感じがして大好き。昨年、一昨年のカレンダーも捨てずに、ずっと飾ってあります。

「SHOWCASE」のテイストも基本は静的なのですが、キューブの中に、違う手触りの写真が閉じこめられるので、おもしろくなるのですな。ただし、今回展示された「SHOWCASE」シリーズで扱われたのは、土田ヒロミさんの「砂を数える」以外には、女性モデルや、海に浮かぶシロクマ、観覧車などですが、それらはキユウさんの世界にすっぽりとおさまりすぎていて、やっぱり土田さんの作品を閉じこめたやつがいちばんおもしろかった。トークで土田さんや後藤さんも触れられていたけれど、ここにヒロシマが入るのか、森山大道が入るのか。他人の作品を使う時には著作権とかどうなるのか。いろいろ巻き込んでどんどんゆさぶって行けと、焚き付けられているさまがおもしろかったです。

トークでは作家本人からこれは写真なのかアートなのかという問題提起がされていましたけど、それについては僕は、そんなのどっちでもいいじゃん!です(笑)。本人も言うほどこだわってないと思うけど。でも、もちろん観客の中には、そのこと(写真とアートの境界みたいなこと)を読み解く人がいてもいいですしね。

「箱庭センチメンタル」などのこれまでの作品にも共通していると僕が思うのは、あるものごとを、手のひらに包み込むようにして、まじまじと、じっくりと、いろんな角度から見て、考えてみる、という、ものの見方の丁寧さ。丁寧ではあるけど手のひらサイズ。僕は、手のひらでしばらく弄んだら、ぶわっと空に放り投げちゃえ!という乱暴者なので(笑)、標本はあんまり欲しくないのです。

そういう意味では「SHOWCASE」もこれまでのお仕事の延長線上にあるものなのでしょうけれど、なんか、過去作にはなかった魅力がある。それがなんなのかまだ理解し切れているとは言えないけど、「SHOWCASE」はタイトルこそ「陳列棚」だけど、中に何を閉じこめるか、それだけで無限に遊べる方法を手にしたということなのかもしれなくて、それが僕が直感的に感じた魅力だったかもしれない。魅力っていうか、ちょっとうらやましくなる感じ。「SHOWCASE 2」を期待して待ちたいです。