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蜜柑山の急斜面

日記です。

マークⅡ

自分と同世代の堀江貴文さんについて、崇拝するわけでも毛嫌いするわけでもなく、メディアとかツイッターで知る断片的な事柄から「すごい人生だな……」とごくごく一般的で平凡な感想を抱いているぐらいのことなので、彼の自伝を読む気もまったくなかったのですが、「cakes」に一部が公開されていたので、うっかり読んでしまいました。

当たり前ですが、「わかるわかるぅ」というところと、「そんな人もおるんだー全然理解できんわ」というところと、両方あるわけですが、一カ所ぐっとくるとこがあった。

(前略)帰りにミスタードーナツをおごってくれたり、自宅に招いて夕食をご馳走してくれたり、彼の父親が運転するトヨタの「マークⅡ」でロイヤルホストに連れていってくれたりと、いかにもお坊ちゃんらしく世話してくれたものだ。
 車種まで記憶しているのは他でもない。当時の僕は、マークⅡのことをベンツにも匹敵する超高級車だと思っていたのだ。堀江家の日産「サニー」とは、グレードが違う。大きさも違えば、内装も、乗り心地も、すべてが違う。特に驚いたのが、ボタンひとつで自動開閉するパワーウィンドウだ。興奮のあまり、意味もなく何度も開け閉めさせてもらったのを覚えている。まるでSF映画の世界だった。(後略)

私もマークⅡは高級車だと思ってて、うちにマークⅡがきた時はただお父さんよかったねとしか思ってたけど、今になればなんというのんきな子どもだったかと思うのは、そのマークⅡを両親が中古で譲りうけたことを、相当後になるまで知らなかったことです。それを疑わないくらい、うちの経済状況を心配してなかった。最近になってつくづく思うけど、たった一人で機械まわして子ども二人大学行かせるってうちの親すげえ。

その後、マークXを新車で買ったことが、酒も飲まないし賭け事もしないし旅行も行かないし、少しの友だちと自分でできるだけの仕事と家族がいればいいみたいな父親のほとんど唯一の自分のためのでかい買い物だと思う。だって、中古のマークⅡの前、わが家で初めての自動車を買う時でさえ、子どもの意見を聞いてくれたんだから。

「大学(でゃーがく)行くんかね(女なのに)」という時代と土地柄で、自分自身もそういう価値観しか持ってなかっただろうに、なぜか娘が無駄に自立心に富んでしまってごめんなさい。結果的にそこそこみんなの知ってる東京の大学に行ったけど、「いちご」と言えばイントネーションが違うと笑われ、アニエスb.を知らないとバカにされ、垢抜けないよねーと言われ(しかも男友だちにw)、今振り返れば、東京に憧れて上京した「遅れてきたオリーブ少女」みたいな子だったら舌噛み切ってるかもしれんな。幸か不幸か私は鈍感だから命は助かったけど、その(ある種健全な)鈍感さは親に大切にされて育ったからだということがわかるのは、子どもを持たない私にとっては、数限りなくと人と会う仕事をしたからで、なんていうか、人生っていろいろです。

「マークⅡが高級車だと思ってた」なんてこと、堀江さんが書くからみんなが読むわけで、私が言ったところで「で?」みたいなことですが、こういう同世代の思い出を喚起するスイッチがこれでもかとばかりに埋め込まれ、仕掛けられているのが今回の堀江さんの著書(自伝)なんでしょうね。

というわけで、まんまと堀江さんにシンパシーを抱かされてしまったわけですが、おすすめしたいわけではなく、このエントリーはただ自分語りをしたかっただけです(笑)。むしろ、チーム堀江みたいな、ベストセラー誕生プロジェクトみたいなものを組織して本を作っていると以前にどこかで読んだ気がするので、もうこれ以上深入りしねえぞ! と心のガードを固めています。本は買いません!(笑)

 

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私自身、世の中のいろんな事象を見つけては発信していく仕事を6〜7年やってきたわけですが、なんとか世代とかなんとか男子みたいに「うまいこと言って売れるブームを作るやつが偉い」「けどそういうやつは嫌い」みたいな業界なんだなーと思っている。時代ってそんなに大事かよ。