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蜜柑山の急斜面

日記です。

サンプル「シフト」

東京芸術劇場シアターイース

昨年の「地下室」に続き二度目のサンプル体験。おもしろかった。(あらすじ、あとで時間がある時に入れる)小さく閉じた共同体のカルト的な気持ち悪さとか、人間の独善的なイヤ〜なところとかを暴く感じは嫌いではない。それは「地下室」とも通じる。ただ、「地下室」の登場人物がみんな“現代人”だったのに対して、「シフト」では、前近代のまま生きてる人vs近代的自我をインストールされたあとの人という構図がある。その構図自体はそれほど目新しいものではなく(少なくとも私にとっては)、はいはいなるほどねみたいな感じなんだけど、いわゆる感情移入させるタイプの作品ではないので、村落共同体の中で盲目的に生きてる人たちも、“ショッピングモーライゼーション”にすがりつく人たちも、どっちも気持ち悪〜いってなって、つらいことこの上ない。でもいちばんつらいのは、舞台の上でくんずほぐれつしてる人々を醒めた面(つら)して見てる自分だ! どこから目線だ、私! という気分にさせてくれるすばらしい作品でした(褒めてる)。

役者陣では、Qの市原佐都子さんの出演も見どころの一つでしたが、なぜ彼女がキャスティングされたか、見て納得。Qの「いのちのちQ」も生殖や血統がテーマだったから。ただ、見た後に松井周さんのインタビュー( http://samplenet.org/2014/03/11/13shift_interview_2/ )を読んだのですが、犬の交配をダイレクトに扱っていた「いのちのちQ」と違い、「シフト」はやはり、遺伝子操作や生命の選択への問題意識よりも、「前近代と近代の泥仕合」のほうが前面に出ていたと思います。土俵を模した舞台美術とか、天井からぶらさげられている日常的な物どもという、視覚的な要素に引っ張られてのことだったかもしれませんが。

「地下室」で描かれたのも相当キモい共同体だったけど、「地下室」と「シフト」、見てて楽しかったのはどっちかといったら、個人的には「地下室」でした。劇場も狭かったし、テンポもよくて、もっときゅっとまとまりがあったからかもしれません。古舘寛治の不在も影響しているのか? それはよくわかりません。