蜜柑山の急斜面

日記です。

喪服

沼袋へ向かうために高田馬場から西武新宿線の各駅停車に乗ったのだが、車中で本を読んでて、無意識に開いたドアから降りて改札へ向かって歩いている途中でそこがまだ中井であることに気づいた。電車は行ってしまったので次の各駅停車を待った。中井駅のホームは風が通り過ぎて寒かった。手が冷たすぎて本を開いていられず、本を閉じて鞄にしまって、手袋をはめてコートのポケットにつっこんだ。冬だな、と思った。一度も雪山に行かないままもう大寒になってしまうな、と夜道を歩きながら思った。

親の手を借りず、自分一人で喪服と数珠を出して、香典を用意して、お通夜に参列したのははじめてかもしれない。喪服はもうかなり前に、母親にうるさく言われて買った。すでにもういい年だったけど、親がいなければ喪服も買えないような子どもだったんだな。親のいない子どもは、誰が喪服を買うことを教えてくれるのだろう……と考えた。