蜜柑山の急斜面

日記です。

木ノ下歌舞伎「黒塚」

木ノ下歌舞伎の黒塚@こまばアゴラ劇場を見てきました。「うわ、まだ知らない、こんなに楽しいものがあったのか!」と思うぐらい、すばらしかったです。歌舞伎と現代劇が融合したスタイルで、ちょっと笑えるパートもあるんだけど、見せ場もがっつりあって、鬼となった婆の独擅場では、婆があわれであわれで泣きそうになってしまいました。歌舞伎っぽい(っぽくしてるのか正当な歌舞伎と同じなのかよくわかんないけど)語りがまた効果的で。まさかこんなふうに心が震えるような体験をするとは予想しておらんかった。

歌舞伎と現代劇ってこんなに絶妙にミックスできるものなのか。なんていうか、新感覚! 新食感!って感じです。今までなかったのが不思議なくらい(いや、そういう試みはあったのかもしれないですが)。歌舞伎はかつて娯楽の王様だったということが素直に信じられるし、現代においてもやっぱりお芝居は大衆のものなんだようと思えるな。

役者さんもみんな魅力的でした。強力の太郎吾を演じてた男の子はダンサーなのかな!? 鬼婆・岩手の人とのコントラストが大変によかったです。非常によく訓練されていると思うけど、でもまったく抑圧的なところは感じず、のびのびと体を使っている感じがしてそれがすごくよかった。もちろん、のびのびとといっても実際はかがんだまま歩いたり、不自然なポーズで止まったり、ラクではないんだけど、なんていうか、役者さん自身が体を使うことを楽しんでいる感じがした、という意味です。

ちょうど昨日、一緒にごはんを食べた人に、1月に歌舞伎座で当代猿之助の「黒塚」を見たという話を聞いたばかり。歌舞伎の「黒塚」は、初代猿翁が創作した沢瀉屋おもだかやのお家芸「猿翁十種」の一つで、当代猿之助が襲名披露公演で上演した演目の一つ。猿之助の黒塚も見たかった。作品の説明を木ノ下歌舞伎のサイトから拝借。

昭和14年に初代市川猿翁によって創作・初演された近代の新作舞踊劇の金字塔。東北地方に伝わる鬼女伝説に取材した能「黒塚(安達原)」が原作。老婆と旅の僧の出会う芝居仕立ての〈上の段〉、僧に諭され、その嬉しさを老婆が舞で表現する〈中の段〉、信頼していた僧に裏切られた怒りから鬼女の正体を現し襲い掛かる〈下の段〉と、起伏に富んだ〈三段〉からなる。

現在上演中の木ノ下歌舞伎の「黒塚」は再演で、ツアーは東京のあと新潟をまわって終了だそうです。三重と岐阜でもやってたみたい。もう少し早く知ってたらもみじさんに紹介できたなあ。でも、木ノ下歌舞伎はこれからどんどん見る機会が増えると思うから、名古屋で見られる機会があったらぜひ見てね!

久しぶりに「超おもしろかったよ!おすすめ!」と屈託なく友達に勧められるお芝居でした。ああ、おもしろかった! もう一回みたい!

木ノ下歌舞伎 official website » 『黒塚』再演ツアー

 

追記

劇場で購入した「木ノ下歌舞伎叢書」を読んでいまして、それによれば、稽古は歌舞伎の「完コピ」から始まるそうです。だから「歌舞伎っぽい」ではなく、意図的に歌舞伎を真似ていたのだった。木ノ下歌舞伎のみなさんが初代猿之助の舞踊を完コピするとか、想像したら、なんか熱いな!

追記の追記

なんと、「完コピ動画」があった!