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蜜柑山の急斜面

日記です。

NEWシネマ歌舞伎「三人吉三」

中村勘九郎中村七之助尾上松也が出演したコクーン歌舞伎三人吉三」の映画版。カメラワークも編集も映画にすることを考えられている、れっきとした映画でした(劇場中継みたいなのとは違う)。3時間超の舞台を2時間ちょいに縮めてある。「興味はあるんだけど舞台は長いからさあ」という理由で見てない人にはおすすめです。まとめてばっさり落とされたシーンがあるようですが、よほどマニアックにいろんな舞台を見比べる人でなければ気にならないと思いますし、役者の出入りとか舞台転換とかが編集ではしょれるだけでも舞台にありがちな冗長さを免れることができるのが映画にするメリットだと思います。

有名な演目なだけに「こんなお話だったのか!」と思いながら超楽しみました。親や家庭環境に恵まれない捨て子のような3人の因果がめぐりめぐって最後は悲劇。盗賊とあるけど今で言えばなんだろう、チンピラ? 悪ガキ? 親やお上には歯向かうくせに義兄弟の契には忠実なのがまた切ない。そりゃ何度も上演されますね。今回の3人の中では私は特に七之助のお嬢吉三が好きでした。女姿の男。

河竹黙阿弥作の「三人吉三廓初買」として初演されたのが1860年というから安政7年。桜田門外の変が起き、万延と改元されます。志士たちが天下国家を語っていたころ、三人吉三は盗賊稼業。小判百両で人を殺める。因果を知り、希望が見えなくなって刺し違える。瓦版にも載らないのでしょう。載ったとして、バカな若者だと一瞥して忘れるか、かわいそうにと哀れむか。文明開化を知らずに死んだ三人。何かの拍子に因果の輪っかが一つはずれて生きながらえていたら、東京となった江戸をどんなふうに見ただろう。