蜜柑山の急斜面

日記です。

勧進帳

まつもと市民芸術館で、木ノ下歌舞伎「勧進帳」を見ました。まさかの、せつなくて泣けちゃうようなお話でした。チラシにあった「ボーダー」の意味が腑に落ちた。歌舞伎の勧進帳のリクリエイトなので、弁慶、義経、富樫など登場人物は同じです。が、弁慶役をアメリカ人で関西在住のタレントさん(なので英語なまり関西弁まじりの日本語になる)が、義経をミステリアスな雰囲気の女優さん(だと思ったんだけど声が重くてうおっ?!っと思ったらニューハーフの方だそうだ)が、葛藤深い富樫の役は演者の中でもっとも若い感じの現代的な俳優さんが演じ……と、まさかのダイバーシティが仕掛けられていたのであった。いやもう、手と手をとり……合わないんだ!というクライマックスの場面は、悲恋と見まがうせつなさ。わたしが同人作家なら間違いなく「薄い本」をつくるわというぐらい。

弁慶を一見して西洋人(アングロサクソン系かな)とわかる体格のいい俳優さんが演じていたこともあって、人種の壁を描いた野田秀樹の「赤鬼」を連想した。もちろん勧進帳は、リクリエイトされてるとはいえ日本的な美学の上に成立しているので、根っこの部分に違いはあるのだけれど。

ここのところ忙しくて情けない思いをしたりイライラさせられることが多かったので、お芝居が始まるその瞬間までくよくよくよくよしていたのだけれど、見終わったら元気になってた。そんな爽快感のあるお芝居でした。幕が下りたあと、お客さんが本当に満足してアプローズを送っていたのまで含めて、よい公演でした。